†黒の存在理由†

黒い砂漠プレイ日記・アニメ・音楽の事を書いています。

†黒い砂漠†ダンデⅤチャレ物語。

ついに俺の出番が来た。
ヤツはなんども姉御の心を粉々に打ち砕いてきた。
姉御が言うには36回だ。
過去36回姉御はヤツに泣かされてきた。
当の昔に涙は枯れ果てたんだろう。魂を完全に抜かれたような
虚ろな目をして姉御は俺に頼んできたんだ。

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俺の名前はべるぐらびてぃ。
邪眼の一家のジャイアントだ。

俺は姉御に感謝している。
この世界で新しい職業が解放される度にいべんとが開催され、
そのいべんとを遂行するために新しいヤツがまたここにしょうかんされる。
だが新しいヤツをしょうかんするためには家族を一人闇の世界に
送り返さないとだめらしい。
姉御がいうには邪眼の一家はりあるまねーの問題からきゃらわくと言うのが増やせないらしく
仕方のない事のようだ。定期的に誰かが一人、闇送りにされ、
家族たちは次は自分じゃないかといつもおびえていた。

じゅでぃは釣りが得意で数十時間立ったまま釣りを続ける特技が
あるから消されないのは納得だ。クザカ討伐専門のぐりーでぃ、
クツム担当のみざりぃ、特別な役割を与えられたヤツは消されはしない。
だが、この世界に呼ばれて数年ずっとレベル16の俺を姉御は何故か闇送りにしない。
どういう事かは頭の悪い俺には分からないが、今こそ姉御の恩に報いる時だ。

ちょっと前の話になるが、
姉御はこの世界にしょうかんされた時、心臓を抜かれていた。
もともと天上界にいた姉御はひょんな事から神の怒りに触れ地上に
堕とされたそうだ。その時についでに心臓を抜かれたらしい。
そのせいで力が発揮されず攻撃力が3くらい下がっているとも言っていた。

心臓無しでどうやって生きているかなんてのは野暮だ。
何せ元は天使だってんだから体の構造がそもそも違うんだろう。

あるとき、その心臓が巨大な海の怪物の体内にある事をしった俺は
とあるギルドのガレー船に乗り込んでそいつの討伐に参加した。
そいつが海の中からあらわれた時、あまりのデカさにビビった俺は
全身が震えてこわばっちまった。
でも俺はこいつを倒すためにここに来たんだと、
絶対に姉御の心臓を取り戻してやるんだと、両手で自分の顔をはたいた。
そして必死に震える右手を押さえつけながらガレー船の大砲を握った。
だが、大砲は発射できなかった。
後で気づいたことだが、大砲はレベル50を超えないと撃てないようになってるらしい。
とんだ失態だった。こうなったらあとはもう他の冒険者があのデカブツを倒すのを
黙ってみているしかなかった。大砲ひとつろくに撃てない自分が情けなかった。
やがてその怪物は倒された。
冒険者たちは口ぐちに「けちべる」と言っていた。きっとろくな報酬が得られなかったんだろう。
まして討伐になんの貢献もしなかった俺に報酬を得る権利などないだろう。
俺も真似して「けちべる」と言ってみれば慣れた冒険者に見えるだろうかなどと
考えていたら心臓が手元にあった。

わけがわからなかったが、たしかにそれは「べるの心臓」だった。
帰ってそれを姉御に渡すと姉御は涙を流して喜んでくれたんだ。
そしてそういう時姉御は決まって笑いながら、
俺のしっくすぱっくに割れた腹を小さな拳で小突いてくる。
俺はそいつがとても好きだ。おがりんⅢを成功させた時もそうだった。
俺はまた姉御に笑ってほしい。
だから今日、このチャンスを絶対にものにしてみせる。

闇の精霊の野郎はほんとに気まぐれだ。
どんなに願ってみても通してはくれない。
だから俺は「あにめーしょんをすきっぷ」する。
ヤツの大げさでうさんくさい動きにはうんざりだ。
俺は自分の力でこいつを叩くんだ。

姉御から渡されたのは真Ⅳのだんでりおんらんす。
使い込まれているが少しも錆びついちゃいない。いい槍だ。
こいつを今日、真Ⅴに強化する。
そろそろお前も次の段階にすすむ時だ。
あんな虚ろな目をした姉御の姿はもう見たくないんだ。

通算37回目。
姉御は隣ですがるような顔をして見守っている。
俺は強化成功のイメージに意識を全集中する。
そして叩いた。


駄目か。
だがまだくろん石はある。
気を取り直して38回目。
今度こそ・・・!

が、駄目・・・!!
さすがに姉御が心を折られるだけはある。
簡単には成功してくれないようだ。

そして次だ。
事件が起こったのは。
俺は一回一回の強化に集中するために失敗する度精霊を一度戻して
気持ちをりせっとしてから呼び戻すようにしていた。
気合を入れてぶっ叩いた39回目の挑戦は、結果失敗だった。
事件に気が付いたのは40回目の挑戦の時だ。

一瞬俺の目がおかしくなっちまったのかと思った。
信じられないことだが、ダンデリオンランスの強化段階が「Ⅲ」て書いてあったんだ。
何が起こったのか分からなかった。

そう、俺はたたくことに気合をいれるあまりにくろん石を使うのを忘れていたんだ。
冷や汗がでた。恐る恐る姉御の顔みると、この世の終わりのような顔をしていた。

これから先は強化に慣れた冒険者のみんなならよくわかるだろう。
そう、そのまま真Ⅰまで真っ逆さまさ。
それでもなんとか1時間くらいかけて一家のみんなの力を借りてⅣまで戻してもらった。
姉御も途中Ⅳちゃれに挑戦して失敗し、すたっくが121まであがった。
そして俺が最終的にⅣにした。俺のすたっく116はⅣに消えた。

それから姉御にダンデリオンランスを取り上げられ姉御がまた自分で
叩いた。40回目、41回目、しっかりくろん石を使ってだ。
通算42回目の挑戦に及んだが、やっぱりだめだった。
ずっと隣で見ていたが、姉御はちょっと滑稽なほどずっと真顔だった。
俺は苦笑いして姉御の肩をぽんと叩いた。
すると姉御は鬼のような、はたまた悪魔のような顔に豹変して
俺のしっくすぱっくに割れた腹に穴が開くんじゃないかと思うようなぱんちをした。
俺はそのまま気を失ってベリアの桟橋から落ちた。
気が付くと俺は海に浮かんでいた。見上げた空はとてもきれいだった。

あの元気があればまだまだ大丈夫だな、と俺は思った。